2万回のA/Bテストからわかった 支持されるWebデザイン事例集
- 作者: 鬼石真裕,KAIZEN TEAM
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2018/07/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自分にとって良かった点
感想というか自分にとっては次の目的においては良書だったという話。
- 他の類似の書籍は、ストーリーや理屈・分析が多すぎて、かえってどれが本当の成功要因だったかはっきりしない。あるいは、著者が思う最強のデザイン集のようになっており、自分の中に最初から答えがある人には良いが、そうでない人には肝心な時に知恵としてこれらを取り出すことが難しい(と思う)。 その点、本書では常に2つ(現在の例を含めると3つ)の例が示されており「対比」で理解を深めたり、自分なりに思考実験ができる。 1.この本は「結果」を明示してあるので、実際の市場調査を行ったりしなくても、あくまで一例ですが類似の他所ではこのやり方で「XX %」改善したみたいですのように言える。筆者には申し訳ないが、分析についてはそのような分析をするという作文集としては参考にさせていただくものの、後付け感*1があるので、あくまで参考に止める。とにかく数字があるのが良い。
- 一つの見開きで1つの例のようなテンポの良い構成なので、すぐに目的のページにアクセスできる。誰かにデザインなどを選んでもらう時に、類似のシーンに該当するページにアクセスして、他所の事例ではこっちで結果が出たみたいです...のようなパンフレット的使い方がしやすい。
- 少し曲がった使い方。A/BテストのAとBのどちらが良いかという以前に、この手の話は、絶対の推し案Aがあってもせめてもう一つ対案B(場合によっては捨て案)を出してということをしないと先に進めない。対抗案を出すのに、この例にのっている成果の出なかった案のコンセプトを借用できそう。 成果が出た方はシチュエーションが合えばもちろん参考になるが、成果の出なかった方を当て馬の例として参考にするという使い方が可能。
改善して欲しい点
立ち読みした時は気付かなかったものの、購入して中身を見て、改善して欲しいなと思った点は次のとおり。
- 成功事例の方のパーセンテージしか記述がない。現在に対する改善率ほどではないが、どれぐらい差がついたか見たいと思うのだけど...どうかな?
- 無理に分類やストーリー仕立て、あるいは分析はしなくて良い。現在とA/Bパターンと改善率の結果の事例を増やして欲しい。
- 現在を100%として、「108%に改善」のような10%に満たない改善は誤差の範囲のような気がするのでもう少し差がついた事例を増やして欲しい。
- 108%に改善!のような誤差の例は、ある意味思ったほど差が出なかった例だと考えた方が良い気がする。差がつかなかった理由やもともとこれ以上の改善は無理筋だったとして、そのあたりに関する洞察や次の打ち手などに関して著者の話が聞けたら良いのではと思った。
こういう人にはオススメしないという点
- そんなに意外な結果はないような気がするので、新たな気づきは少ないような気がする。... ので画期的な方法を求めている人。
- 説明や洞察に厳密性や論文的なものを求める場合。ロジカルに頭で理解したい人。
- そのまま使いたい逆引き事例を求めている場合。なんらかのバイブルにしたい場合。
*1:実際は後付けででなくても