MBA的な世界で出てくる様々なビジネスフレームワークですが、どうもすっきりしません。
私が成功した経営者や経営者でなくともMBAを修めた立場でであれば良いのですが、残念ながらそうではないので小声で言うと、多分本来の経営においてはさほど役に立たなそうな気がします。
ただ、本当に役立たないかというとそうでもなくて、これまた多分ですが、事後分析や、逆に形式は問わずももともと確固たる信念や言語化するのが難しいアイディアやビジネスプラン、戦略の案がある場合に、それを「点検」する際に参考にするというのが良い使い方のような気がします。
また、これらのビジネスフレームワークですが、ことをややこしくしているのが使い所がはっきりしないことのように思います。
何かの試験問題や演習ならともかく、現場で、さて3C分析をしてみましょうと言われて、3つの空欄を埋めようとして手が止まりませんか。
手が止まるのはいろいろ理由があると思いますが、ひとつにはシンプルに目の付け所とそれを可視化する方法として使おうと思っているフレームワークが適していない、またひとつはそのフレームワークを使うにあたって事前に調査しておいた方が良い事項や素材が揃っていないというようなところがあると思います。
ということで、自分の中での咀嚼もかねて、有名フレームワークの使うタイミングを整理してみました。
ただただ一覧が出て来るのも辛いし自分でもおもしろくないので、(怪しい)業務改善コンサルタントとして召喚され、主要なフレームワークを並び立てるだけで現状の問題やビジネス上の課題をあきらかにするとともに、新たな(ただし、根拠に足る)事業戦略とともに実際に機能するプランを立案する... という夢のようなストーリーでフレームワーク間の順々に適用するとしてみました。
- 1. 財務三表
- 2. バリューチェーン
- 3. ビジネスモデル
- 4. 3C
- 5. SWOT
- 6. PEST
- 7. クロスSWOT
- 10. PPM
- 11. イノベーター理論、プロダクトライフサイクル
- 12. アンゾフの事業マトリクス
- 13. STP分析
- 14. 顧客グリッド
- 15. 再びコトラーとポーターの2大巨頭 〜コストリーダーシップ
- 16. 差別化 →4C(買い手)、4P(売り手)
- 17. AIDMA・AISAS
- つかれてきたのでここまで
多少無理があるところもあると思いますが、適用順序とストーリーがあると、白紙だと記憶しづらいものも記憶に定着するのではという期待をこめております。
1. 財務三表
財務三表は普通にながめて見ましょう。
ここでは深掘りしていませんが、数字で大きさを図る・感じるのは重要だと思います。 (私がこれらの情報をもとに目利きができる・得意だとはひとことも申しておりません。)
他にも、生産性や効率性、収益性、安全性といったことを確認しましょう。
確認の際は、同業他社のデータがあると望ましい... というか同業他社と比べるしか、素人にはこの値がどれほどのものか分からないので注意しましょう。
2. バリューチェーン
バリューチェーンを確認しましょう。
価値を生み出しているのはどの工程か。貢献しているのはどこか。
主活動に目がいきがちですが、支援活動も(分析中毒にならない範囲で)見逃さないで。
チェーンのつながりこそが価値の源泉になっているかもしれません。
というかバリューチェーン分析の目的は本来そちらかな。 (業務フローなどを描いて分析すると、バリューがそっちのけになる場合があるように思います。分析として使うといいながら、あなたの会社は(うちの会社は)このバリューチェーンこそがポイントです!と言い切るための挿絵としての使い方がバリューチェーンの本質のような気がしてきました。)
ちなみに、「支援活動」の方が明らかにボリュームが大きいような営みになっている場合は大企業病になっている可能性があります。
3. ビジネスモデル
ビジネスモデルがどのタイプか確認しましょう。
あえて付け焼き刃ですが、ビジネスモデルの詳細な分析もさることながら、あえてカタログ的にものを見て、どの勝ちパターンを志向しているのかを言語化するというのが効率的な場合があるように思います。
https://www.amazon.co.jp/dp/4798146889 ビジネスモデルナビゲーター
4. 3C
3Cを可視化しましょう。
なお、どこかで見たことの受け売りですが、過去と現在の3Cを書き出して「変化」をみることで、3Cフレームで本来あぶり出したかったことが見える化されます。
逆に言うと、よくある3つの丸のベン図みたいな単品の3Cだと、それが正しい分類だったとしても、これは本当にCompanyの分類で良いのかねみたいなズレた話になるような気がしますので、3Cの本来の目的にそうように「変化」を示すのが有効だと思います。
3Cをまとめていると自ずと、その情報収集や考察の流れで、VRIOらしきものがおぼろげながら見えてきます(かもしれません)。
5. SWOT
ここではそれを横目に、SWOTの強み弱み機会脅威を埋めてみます。
戦略立案というよりは、まず現状分析です。
強みに関連するのはVRIOですね。
6. PEST
SWOTの機会・脅威に関するところでは、PESTの観点でものを見てみると良いと思います。
7. クロスSWOT
SWOTを戦略が噛み合うように、クロスSWOTに組み直します。
ここで、先の3Cをふりかえりつつ、次のような古典をあたまに浮かべてみましょう。
整合性のチェックやうまくいきそうなクロスSWOTになっているか確認するのが良いと思います。
8. ポーターの3つの基本戦略
コストリーダーシップ、差別化、集中に照らし合わせてみる
9. コトラーの競争地位戦略
リーダー、チャレンジャー、ニッチャー、フォロワーそれぞれと、 フルライン戦略、差別化、隙間製品の徹底、リーダーのマネ と言われる定石との兼ね合い
10. PPM
続いて、具体的な事業の展開を考えます。
現在の事業や製品を棚卸しして、どのポジションなのか確認します。
拡大か撤退か、はたまた重要な空白領域に新たな製品を投入するのか思考します。
11. イノベーター理論、プロダクトライフサイクル
PPMで市場成長率とシェアのどの位置に位置するかは、感覚的にもわかるかもしれませんが、イノベーター理論やプロダクトライフサイクルのフレームを知っていると定性的なりに多少客観視できるかもしれません。
12. アンゾフの事業マトリクス
事業の拡大については、製品の市場開拓なのか多角化なのか、市場において顧客への浸透なのか新商品開発なのか、これらの組み合わせなのか相性を考えて行動しましょう。
なお、図では特にふれていませんが、ブルーオーシャン戦略を念頭におきましょう。
13. STP分析
具体的な戦術に落とし込んでいきます。
が、ここでもまた分析です(笑)。
S: セグメンテーション
T: ターゲッティング
P: ポジショニング
14. 顧客グリッド
前項のターゲッティングは、顧客グリッドを使って分類するとともに、定石にしたがってアプローチを決めると良いでしょう。
顧客グリッドは、顧客収益性とロイヤリティの軸で顧客タイプを6種に分類したものです。
https://www.emotion-tech.co.jp/resource/2015/the-three-sacred-treasures
15. 再びコトラーとポーターの2大巨頭 〜コストリーダーシップ
市場開拓や新商品開発の方向性ではなく、既存製品を重視する場合、ポーターの3つの基本戦略のコストリーダーシップに注目します。
ここでは、効率化の方向性になるので、最近だと7つの無駄(加工、在庫、作りすぎ、手持ち、動作、運搬、不良のムダ)に注目することになりそうですが、少しレイヤが低くなるかもしれません。
16. 差別化 →4C(買い手)、4P(売り手)
差別化戦略を掘り下げる場合は、4C、4P分析を行います。
歴史的には、4Pから4Cという流れのようですが、分析が目的ではなくて、差別化戦略の点検という意味では、両方使えば良いような気がします。
また、VRIOが成立しているか/成立しうるか確認しましょう。
この時、競争優位の源泉(差別化、コスト優位、イノベーション)が確保できそうかも点検した方が良いと思います。
17. AIDMA・AISAS
4P、4Cの流通(Place)、販促(Promotion)には具体的なPR活動もさることながら、AIDMA、AISASを意識しましょう。
せまいところで戦っていませんか?
Promotionという意味では、顧客グリッドを振り返るのも有効でしょう。
つかれてきたのでここまで
続きとしては、
ビジネスモデルキャンバス、リーンキャンバスのフレームワーク。
経営資源のヒトモノカネ、時間、情報。
経営視点に話を戻すなら、バランススコアカード(BSC)での財務、顧客、業務プロセス、学習と成長... と話は続きます。
が、疲れてきましたのでここまでにします*1
*1:実際は、この辺から先にストーリーづけるのは無理が出てきたというのもあります。